Grand canyon west rim – Fragstaff
ウエストリムの入り口に辿り着いたら大きな駐車場があり、誘導されるままにテーマパークみたいな建物の中で入場料を払ってツアーのバスに乗る。あれ?思ってんのと違うな。入場料もこんなにするのか?と内心ドキドキしながらも腹を括って流れについていった。結果的には国立公園ではなく、ネイティブアメリカン自治区内にできた観光スポットだった。人が大きく介入したシステムに少し思うことはあったけれど、壮大な地形は本物だった。そのおかげで立ち入ることの出来た場所なのだろうから、貴重な体験をさせてもらえたと今ではありがたく感じている。違いを確かめたくて、国立公園の方にも行ってみることにした。
ウエストリムを後にして日暮れを迎える中で次の町へ向かっていたら、突然嵐のような大雨が降っているエリアに入り、途中で二重の虹が現れた。今回の旅はとにかく広大な土地をひたすら進んでいくので、目まぐるしく変わる気候や景色に感動しっぱなし。
この日は土曜日で、フリーウェイ沿いの町に辿り着いたらほとんどのモーテルが満室だったので泊まれるところを探し回った。空いていても相場よりも倍以上の金額で泊まりたい感じの場所ではないところばかりだったので、宿のことはまず置いておいて夕食を先に取ることにした。食事をするにも混んでいたけどなんとかカジュアルなレストランに席を見つけて、食べ終わるとすっかり夜の21時になってしまった。近くの町をネットで探すことにして町を後にしようと車を走らせたら、後ろからパトカーのサイレン。自分たちではないだろうと思っていたら、私たちにピッタリとついて来る。恐る恐る停めると、映画で見るようなガタイのいいポリスが窓から話しかけてきた。ライトの点灯し忘れだった。それだけのことだったけど、プチパニックの私たち。動いたら撃たれるかも!と焦る(先入観)。免許証を見せればいいのに、後ろのトランクが開くボタンを押してしまったり、ロサンゼルスで拾ったブーゲンビリアのお花(既にドライになっている)を何故か隠したり。結局、免許証と悪い人に見えないだろう私たちの顔を見て、最後にポリスのお兄さんが “気をつけるんだよ。後ろのトランク閉めとくね(ニヤリ)。”と去っていった。ふう。国際問題になるかとドキドキしたけど、全然大丈夫だった。
でも宿が見つからない。町もない。山道で車中泊を覚悟したけど違法かもしれないし、ややこしいことになったりしたら大変なので調べる。日本人の方のブログから答えが見つかり、トラックストップというものがあるとのこと。ガソリンスタンドの駐車場で合法的に車中泊をしてもいい場所があると知り、比較的大きめの町フラッグスタッフに行けそうだったので向かった。そこには24時間空いているサービスエリアのような建物があり、恰幅の良いお兄さんが見守ってくれているので安心してお手洗いにも行けたし、使わなかったけどシャワーもあった。そこで眠った翌朝は清々しい空気で、美しく整ったフラッグスタッフの町並みが見えた。早い時間からオープンしていたオーガニックのカフェを見つけて、全粒粉のワッフルとカフェオレの朝食をいただいた。
早いうちにグランドキャニオンノースリムへ向かう。これまでとは違う緑が豊かな山道を車で走る。時々、山火事注意の立て看板があって燃え尽きた樹々も見かけた。美しい空に釘づけ。
text & photo by Hisayo