BARMANEとRONMADOR ②
RONMADORの始まり
BARMANEの閉店の話が出た2022年の年末のある日、お弁当のご注文をいただき、ご依頼をいただいた方のお勤めの会社へ直接お届けしに行きました。無事にお渡しを終えてホッとして店に戻ると、店主があ!っと冷蔵庫を開けている。なんと一品を入れ忘れていたのです。お品書きには記載していたので、お詫びのご連絡をし、後日(年始早々に)ご挨拶に伺うことになりました。その時にお持ちすることにしたのが、初めて作るドーナツでした。今、RONMADORでご提供しているものとは材料も作り方も少し違っていますが、これがきっかけとなりました。
この日を境に、友人や知人に会いに行く際にドーナツをお土産にすることが何度かありました。その中で1人、”いつか(お店を)やるんやったら、やるで!”っとぽろっと口にしたのが、現在一緒にお店を運営しているひろみさんでした(彼女は学生時代のバイト先の先輩で、映画と観たり、楽しいことを共有してきた仲で、時を経て会う頻度が減っても大切な節目にはいつも顔を出してくれた人)。
BARMANEが閉店して次の展開に移る可能性を話したこともあり、私たちの未来の種がハラリとこぼれ落ちたのがこの時です。そして、その後はお互いにその話題を出すこともなく過ごしていましたが、3月に閉店の告知をし、お店の賃貸契約の解約申し込み書を提出するまでの期間があり、家族を交えて今後の話し合いをしている時に点と点が繋がりました。その話し合いというのは、実際に各地に行くにも拠点がないと、レンタルキッチンを毎回借りることになる。新たな土地を探し(実際に関東の方へ見学に行ったりしました)理想的な場所を作るには資金も必要。転々とするにもあまりに根なし草のようで、人生において直観だけを頼りに冒険をしがちな2人ですが、もう一度考え直すことにしました。頭の中に有り有りと映像化した未来図は、いつか現実として芽吹くまで一旦保留になりました。
管理会社に口頭で申し出たものの、まだ解約していないし猶予もある。手放さずに継続して使わせてもらおうかというようなことを店主が言葉にした時、その選択があるのかと、どこかホッとしたことを覚えています。BARMANEとしては変化が確定している、では新たに展開をどうやって作るか。
あ!ドーナツ!ひろみちゃん!
浮かんだ時にはワクワクが止まらなくて、アイデアがどんどん降ってきて、その晩は眠れませんでした。時を待たずして、ひろみさんに連絡を取りました。彼女がOKしてくれたら始まる。ドキドキしながらも、どこかで上手くいくという確信めいたものはありましたが、正式に決まるまではまだ安心できない。ただ、ノートを手元に置いて思いついたことを書き留めていく日々でした。
約束の日、ひろみさんが自宅に来てくれました。夕食を終え、ドキドキモジモジしながら話を切り出したと思います。
これまでの経緯を話した流れの中で、”ドーナツ屋さん、一緒にしない?” みたいなことを口にした途端、”やる!” と即答で(実は話があると連絡してから、なんとなく予感があったとのこと)、夜遅くまで皆で細かなアイデアをポンポンと出し合いました。あっという間に一歩を踏み出すことになりました。
まだ存在しているBARMANEという場所と同時に、新しいドーナツのお店のヴィジョンが並行し始め、レストラン営業と並行してドーナツ試作と新しいお店の構想をシェアし合う日々が始まりました。
名前が決まるのはもう少し後ですが、ラ行かな?と音だけがうっすらと私の頭に浮かんでいました。
続きます!
Text : Hisayo